電子画像研究室

有機光導電イメージセンサに関する研究

研究目的

ファクシミリやコンピュータ入力用のイメージセンサには現在無機光導電が用いられている。 本研究では有機光導電体を用いたイメージセンサを作製することを目的とした。 新素材による光エレクトロニクスデバイスである。 このセンサの主な特徴としては製作方法に塗布法を用いることによる 低価格化と低公害性が挙げられる。

有機光導電体

有機光導電体としてジブロムアンスアンスロン(DBAA)を用いた。 この物質の特徴として可視領域の 550nm付近に分光感度があり、 白黒原稿の他に青や赤の原稿も読み込み可能である。

センサの作製方法

光導電体であるDBAAをポリカーボネイト樹脂中に分散させ、 バーコート法やスピンコート法で透明電極ガラス基板(ITO膜)上に塗布法による製膜を行う。 これを室温で乾燥させた後、真空蒸着法により対向電極を付けて サンドイッチ構造の光センサを作製した。

イメージセンサー(光センサー)に要求する特性と結果

高光電流(高解像度)
本研究では金属の電極面積を10(3.16mm×3.16mm)としている。この時、イメージセンサーの目標解像度を8画素/mm(200dpi)としセンサー部と非センサー部の割合を4:1とした場合、1画素当たりの最小必要高電流を10nAとすれば目標光電流値は10μAとなり、 b)の単層構成で200dpiの解像度が得られる特性となった。
高明暗電流比(高解像度)
暗電流を小さく抑え、光電流を大きく取り出すことは高階調度化を達成するのに重要であり、要求されるS/N比としては100以上で単層型でも10000以上の明暗比が得られた。
光応答速度(読み取り速度)
光応答速度はそれを用いて構成したイメージセンサーの読み取り時間を決めるため光電流、明暗電流比と共に重要な特性の一つである。

実験的にラインイメージセンサを固定しステッピングモータで原稿を走査し、センサからの信号を光導電モード方式で読み込んだ。パラレル−シリアル変換、増幅、A/D変換した後、コンピュータ入力処理して画像形成した。